練習から帰った夜、子どもがぽつりと「コーチ、怖い」と言った。
親の頭には、すぐにいろいろな考えが浮かびます。怒鳴られたのか。自分だけ強く言われたのか。もうチームへ行きたくないのか。
でも、この時点ではまだ分かりません。最初にしたいのは「そのコーチは問題だ」と判定することではなく、子どもの言う「怖い」を具体的な場面に戻すことです。
「怖い」を一語のままにしない
「怖い」にもいろいろあります。声が大きくて驚いた。ミスした時に強く注意された。何度も同じ言葉を言われた。質問しようとしても近づけない。あるいは、人格を傷つけるような言葉や威圧があった。
親が先に意味を決めるより、「何があった?」「その時、何て言われた?」「次の練習はどうしたい?」と、本人が話せる範囲で聞きます。
「あのコーチ嫌いでしょ?」と答えを置く必要はありません。逆に、「厳しいくらい普通だよ」と片づける必要もありません。
「試合に出してほしい」と「安全に関わる問題」は別にする
コーチへの不満は、起用やポジションの話と混ざりやすいところです。
「なぜうちの子は出ないのか」「希望のポジションをやらせてもらえない」。こうした疑問は、まずチームの起用方針や本人に求められていることを確認する話です。
JFAの暴力等根絶相談窓口も、選手評価・選手選考やクラブ運営、指導者と保護者の一般的なトラブルなどは、暴力等の相談対象とは分けています。
一方、暴力、暴言、脅迫、威圧などが疑われるなら、単なる「起用への不満」や「相性」の話ではありません。ここを同じ箱に入れないことが大切です。
出場時間そのものが悩みなら、「少年サッカーで試合に出られないとき」で、本人の希望とチームの役割を分けて整理しています。
見るなら「ミスした後」と「質問したい時」
コーチと子どもの相性を考える時、試合結果や声の大きさだけでは分からないことがあります。
たとえば、ミスした後。強く注意されたとしても、その後もう一度プレーへ戻れるのか。何を直せばいいか分かるのか。質問したい時に近づけるのか。
JFAの「PLAYERS FIRST!」は、育成年代を子ども中心に考える姿勢を示しています。家庭で確認したいのも、親がそのコーチを好きかではなく、子どもが考え、挑戦し続けられる関係が残っているかです。
同じことが続くなら、言葉をそのまま残す
一度の強い注意だけで全体を決めつける必要はありません。ただ、同じ言動が繰り返され、本人も困っているなら、相談できるように事実を残しておきます。
- いつ、どの練習・試合で起きたか
- 実際にどんな言葉・行動があったか
- その場にいた人
- その後、子どもが何と言ったか
- 同じことが続いているか
「いつもひどい」より、「この日の練習でこの言葉があった」の方が、チーム側も状況を確認できます。
相談する時は、子どもを伝言役にしない
本人も困っていて、同じ状態が続くなら、チームの代表者や責任者へ確認する方法があります。
「コーチを替えてください」と結論から入るより、「本人がこの言葉を繰り返し気にしています。チームではどのように見ていますか」と、事実と確認したいことを分けて伝えます。
親がコーチへの不満を子どもへ何度も話したり、「お父さんが言ってたって伝えて」と任せたりすると、本人が大人同士の間に立つことになります。大人が確認することは、大人同士で扱います。
暴力・暴言・威圧は「相性」で様子見しない
暴力、人格を傷つける暴言、脅迫や強い威圧、ハラスメント、けがや体調不良を無視した参加などが疑われる場合は、話が変わります。
必要なら活動から一時的に離す。日時や言動、メッセージ、写真や動画など確認できるものを残す。チーム内で安全に相談できなければ、JFAなどの正式な相談先も確認する。
「もう少し我慢できるか」を試すより、まず安全を確保する場面があります。
環境を変えることは、サッカーを諦めることではない
話してみて改善することもあります。逆に、指導方針そのものが本人と大きく合わないこともあります。
本人はサッカーを続けたい。でも今の環境では難しい。そんな時に別のチームを見ることは、競技をやめることとは違います。競技は続けたいけれど「コーチが嫌だ」と言われたときの親の動き方は、子どもが「コーチ嫌だ」と言った夜、親はどこまで動く?でも整理しています。
候補を探すなら、「少年サッカーのチームはどう選ぶ?」で、体験中の子どもの様子やコーチとのやり取りまで見直してみてください。
子どもの「怖い」を聞いた時、親が最初に決めるのはコーチの評価ではありません。何があったのかを知り、この子がここで安心してサッカーを続けられるかを見る。そこからで十分です。

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